グローバル保険市場インデックス:2025年1-3月(第1四半期)
保険会社間の競争の激化により、2025年1 -3月期は、グローバルベースでの企業向け保険料率の動向は、米国の賠償責任保険の料率を除き、平均して低下の傾向となりました。予期せぬ事態がない限り、この傾向は継続し、保険会社間の競争はさらに激化すると予想しています。
マーシュのグローバル保険市場インデックスによると、2025年1-3月期のグローバルベースでの企業向け保険料率は前年同期比で3%の低下となり、7年間にわたって上昇を続けてきた保険料率が2024年7~9月以降、3期連続で低下しました。賠償責任保険を除く、すべての地域および種目において、料率の低下が見られたことは、顧客にとって好材料となりました。
こうした保険料率の動向は、大規模な災害の発生や、または大規模災害からの連鎖的な事象により、予期せず急変する可能性を視野に置いておくことが重要です。たとえば、北米の熱帯低気圧/ハリケーンシーズンには毎年注意が必要です。
多くの顧客は前四半期(2024年10‐12月期)に、保険料の低下と補償範囲拡大の両方において有利な状況でした。また、主要保険会社は、再保険価格を含めて意欲的な成長目標を掲げ、概ね順調な事業環境でした。
一方、米国の賠償責任保険は保険料率が 8% 上昇したため、グローバル市場の総合的な保険料率における 4% の上昇に大きく影響し、他の種目とは別の傾向を示しました。要因としては主に請求金額の高さと陪審員による非常に高額な判決額により、引受キャパシティが逼迫したため、保険会社は引き続き保険引受枠の縮小を継続しました。米国の賠償責任保険市場の状況は、他の地域の保険料率や補償範囲にも影響します。
米国の財物保険が 9% 低下したことを受け、米国の総合的な保険料率は 1%低下しました。財物保険において、パシフィック地域は8%の低下、英国は 6%の低下、その他の地域は一桁台前半の範囲で低下し、グローバル市場における財物保険の総合的な料率は 6%低下しました。
各種目の保険料率の低下傾向は、一部の地域では前四半期と比較して緩和または安定化しました。例えば、金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、グローバル全体では前四半期と同じ 6% の低下となり、サイバー保険の保険料率は、前四半期の 7% の低下と比較し 6% の低下となりました。
保険会社間の競争が高まり、顧客にとっては保険料だけでなく契約条件においても有利な環境となりました。また、保険仲介会社と連携することで、近年の保険内容と比較して、補償範囲を拡大できる分野を特定するなどの選択も可能です。
マーシュでは、お客様が十分な情報に基づいた意思決定を自信を持って行えるよう、支援してまいります。これらのレポートが、お客様および企業の意思決定を支え、今日の変化が激しい市場状況や国際情勢に適応する一助となれば幸いです。詳細については、マーシュの担当者までお問い合わせください。
-John Donnellyマーシュ、グローバル・プレースメント部門 統括責任者